生命保険に関しては、予備知識もないまま、営業担当が紹介する提案書の範囲内で保障内容などを決定して、契約のハンコを押してしまいますよね。
つまり主体的な保障プランではないのに、何の疑問も持たずに同意してしまっているわけです。
「あなたに合った保険」といいながら、家計のキャッシュフローや必要保障額の計算もせず、生年月日と名前だけで保障プランや保険金額まで算出できてるって、不思議じゃないですか?
それ故に、
- 保障の重複または過剰な保障額
- 毎月の支払い保険料が家計に負担
- 健康であり続けると損する契約
- お守りという概念による契約過多
という状況になっていることが多く、保険の見直しが効果的なご家庭は非常に多いです。
元保険代理店でFP2級を所有している私が、少しでも「合理的な保険契約」のために、かつてのコンサルティングを題材に生命保険のポイントを解説していきます。
必要保障額というキーワードを知ろう
必要保障額とは、「いざというときに収入や預貯金でカバーできない部分を埋める金額」になります。
例えば、稼ぎ頭である会社員の旦那さんが病気や事故で亡くなってしまい、主な収入源が断たれてしまうと、
- 残された遺族のこれからの生活費等は十分である
- 残された遺族のこれからの生活費等は不十分である
この2択しかありません。
ただし、どちらになるのかは、ご家族の数十年先のライフイベントをからめた家計のキャッシュフローが必要になります。
家族全員の場合は、少なくとも夫または妻が60歳から65歳まで、つまり会社員だとしたら定年退職までのキャッシュフローを見たいですね。
老後の生活費まで一貫して見たいならば80歳以上のキャッシュフローを作ります。
これで1年単位で家計の収支が明らかになります。
赤字になる年がでることもありますが、この赤字が出る出ないを知るだけでも、キャッシュフローを作る価値はあります。
あとは、どう資金調達するかだけを考えればよいわけです。
キャッシュフローで年間収支と必要保障額を予測
キャッシュフローとは、どういうものなのか、サンプルをご覧になってください。
※クリックで拡大します
【ご注意】
サンプルのキャッシュフロー表では、物価上昇、運用利回り、昇給などについては、見やすいように変動率をゼロとしています。
漠然とで良いですから、もしも、上記のキャッシュフローにおいて「夫」が45歳または50歳と若くして亡くなってしまった場合、遺族の生活はどうなるのかを想像してみてください。
保険がなければ極貧生活です。
つまり生命保険の役割は、このようなケースにおいて家計が破綻しないように備えるものなのです。
「結婚したら死亡保障は3,000万円」なんて、判で押したような販売トークが昔は流行ったのですが、いかにいい加減かが理解できたのではないでしょうか。
冒頭で、キャッシュフローも作らずに必要保障額を算出するのは不思議だと言ったことも、合わせて理解していただけるとうれしいです。
コンサルティングの実情
生命保険の見直しとは言うものの、いったいどういう雰囲気なのか、わからないと思います。
個人が特定されない程度に、コンサルティングの実情を再現してみますね。
保険の見直しのタイミングは、
- 子どもの誕生、入学、卒業、独立(社会人として)
- 住宅購入
- 定年が見えたころ
など、いろいろ挙げているサイトもありますが、個人的には「思い立ったらすぐ相談」がベストな時期だと考えています。
では、会話を交えながら再現していきますね。

会社に来た外交員さんの勧誘で、どうやらよく考えもせず、勧められるまま入ったらしい生命保険。
子どもさんも増えて出費がかさむようになったので、そろそろ見直しをしようかなと思い、話を聞きたいなというのが動機でした。

状況としては、奥様自身は保険に入っておらず、保険のことは全く知識が無い模様。
イメージとしては、旅行のパックのように既に出来上がった保険のプランだけが存在して、数少ないその中から選ぶしかないと思い込んでいたフシが見受けられました。

最初に生命保険の説明をざっくりとすることになります。
相談者の方には、少々面倒な思いをさせますが、基礎知識がないために、出さなくていい保険料を長い間支払うことになります。
保険を間違ったまま認識だと、きちんと選べません。
しかも、ご主人が加入されたのは20年程前。
当時の外交員は、プランを勝手に1、2個作ってきて勧めてくるだけだったので、商品の内容については説明されなかったようです。

30分ほどかけて説明し、掛け捨て、定期保険、養老保険、終身保険などの違いを理解していただけました。
奥様は勘の良い方で、生命保険会社の利益になる種類の保険を勧められていたのだなと、気づいたようでした。

かつて私も自分の保険見直しで、2000万円ほど生涯にわたってムダ使いをするところだったという体験談も聞いていただきました。
かなりびっくりしていましたね。

各保険会社の商品それぞれに特徴があり、さらには、各ご家庭の事情や家計状況は違いますから、どの保険を選ぶのかではなく、どう保障を設計するのか、という考え方にシフトすることが重要です。
あなたにあった保険とは言うものの、保険会社は都合よく用意してくれません。
自分で合うように組み立てるものです。
FPは、そのお手伝いをする存在でもあります。

奥様曰く、保険会社の人はグイグイ勧誘してくるイメージがあり、きっとFPも似たような感じなのではと構えていたとか。
淡々と説明して、意見を沢山聞いてくれるので、ちょっとしたカルチャーショックだったとおっしゃってました。
うーん・・相当に負のイメージを持っていたんですねー(汗)
ご主人に契約を迫っていた外交員は、社内で売上トップの成績だったようです。
トップセールスマンではありますが、契約して以降は全く顔を見せなかったあたり、大体の人物像が想像できます。

個人年金保険は、比較的利率の良い時期に加入しているので、今更解約するともったいないので、そこには手をつけませんでした。
掛け捨てで加入していた部分を、いくつか解約し、希望していた学資保険にも加入できる目途がたちました。

保険金額は変わらず月々の保険料は8,000円程安く、年間で10万円近く節約できる結果になりました。
保険設計など詳細については、かなり省いていますが、文章では書き表せないほどの分量になるので、勘弁してほしいです(汗)
保険コンサルティングや相談の費用について
私の場合は、有料相談になります。
あくまでもコンサル料または相談料として、料金をいただいています。
このケースでは2万円で合意いたしました。
高いですか?
高いですよね(汗)
一時的に2万円は支払っていただきましたが、それ以降は、毎年10万円近くの保険料を支払わなくて済むようになったのですけど、やっぱり高いですかね・・・((+_+))
保険代理店も兼ねているFPさんだと、相談料は無料というケースがあります。
しかし、それは保険契約が発生した場合に限るということもあり得るので、事前に確認した方がいいですね。
イオンなどのショッピングモールに店舗がある全国的に有名な保険代理店なると、何度相談しても無料ですから、お試ししてはいかがでしょうか(笑)
相談を担当した人と、なんとなく話し辛いなあと思ったら、セカオピしましょう。
保険見直しのまとめ
保険見直しのタイミングは、思い立ったときです。
なかなか敷居が高くて、保険契約をさらに迫られるイメージがあるかもしれませんが、それも昔の話です。
ところが売るためのアプローチは改善されても、
- 必要保障額
- キャッシュフロー
- 保障の設計
という概念がないばかりに、ムダに保険料を支払っている人は、今でもたくさんいると思います。
老後の生活費が2,000万円足りない、という、ちょっとした騒動がありましたけど、その足りない原因のひとつには、保険料が関わっているかもしれませんよ。